<家族のカタチ>(6)手賀沼畔のイチゴ農家 親の背中、次世代の就農促す – 東京新聞



イチゴ栽培のハウスに集まった(右から)由大さん、一男さん、一敬さん、世也さん=いずれも柏市で

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 手賀沼畔の柏市鷲野谷でイチゴを中心とした農場を営む園辺家は代々、農耕をなりわいとしてきた。根菜、葉物など四十種ほどの野菜を手掛け、イチゴの収穫が最盛期を迎える年末年始は、祖父母、両親らを、学生の息子二人が手伝い、家族総出で仕事に取り組む。親たちの働く姿に日々接する環境が、次世代の就農を促してきた。
 年明けの五日、「そのべいちご園」で、今季のイチゴ狩りがスタートした。農場前の道路わきでピンクののぼりがはためき、収穫体験を楽しみに訪れた人々を出迎えた。
 今では沼周辺で早春の風物詩ともなったイチゴ栽培に園辺一敬(かずのり)さん(45)と父の一男さん(74)が乗り出したのは、二十年前のことだ。
 「冬場は作物の種類が少なく、農場前に設けた直売所の空白期間をなくそうというのがきっかけだった」と、一敬さんは振り返る。先輩農家を訪ねて勉強し、温度管理や施肥などで試行錯誤を繰り返し、自慢のおいしいイチゴをつくり出せるようになった。
 一敬さんは、地元の高校を卒業後、県立農業大学校(東金市)に進み、家業を継いだ。「周囲で農家を継いだのは私だけ。でも不安はなかった。オヤジや祖母の姿を見ていると『ていねいに野菜を作れば、お客さんはついてくる』ってね」
 イチゴ栽培を始めたのとほぼ同時期、一敬さんは妻由加里さん(44)と結婚した。「イチゴは冬場、全く休めないのが大変。でも充実しています」と、由加里さんは笑う。クリスマス前から、翌春の大型連休まで続くイチゴの収穫期は、義母の律子さん(73)とともに、パック詰めなどの作業や接客に追われる。
 一敬さん夫妻の長男由大(ゆうだい)さん(18)と次男世也(せいや)さん(16)は、家業を軸に、それぞれの将来を思い描く。
 高校時代まで野球に打ち込んだ由大さんは、教員になって、後進を指導したいと考えたこともあったが、一敬さんと同じ道を進むことにした。

農場前の直売所で、イチゴを選別する由加里さん(右)と律子さん

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 現在は父親も学んだ県立農業大学校の一年生。施設野菜の専攻教室で学び、学校が休みの土日は、東金から実家に帰省し、農作業を手伝う。「父のようにおいしいイチゴが作れるようになるか。卒業論文のテーマにもするつもりです」と意気込む。
 高校一年生の世也さんの志望は料理人。イチゴを使ったケーキを焼いたこともある。一敬さんは「地域全体で、余った野菜の料理を提供する場などができれば面白い。(農家が生産、販売、加工を一手に扱う)六次産業化に向けた仕組みづくりにつながる」と夢を膨らませる。
 律子さんは、孫の由大さんが幼少期、七夕の短冊に「イチゴ屋さんになりたい」と書いていたことを覚えている。「志望は小さなころから、芽生えていたのではないか」と推し量った。連綿と受け継がれていく農の仕事。一男さんは目を細めた。「親を見て育っているので、自然なことなんだと思う」 (堀場達)

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