ドローンの農業活用メリットはどこにあるのか? ドローン・ジャパン春原久徳氏が解説 – ソフトバンク ビジネス+IT



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ドロ―ン・ジャパン 取締役会長
セキュアドローン協議会 会長
ドローンコミュニティ「ドローンクラスター」主宰
春原 久徳氏

ドローンx農業でできることとは?

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 国内におけるドローンビジネスの市場規模は、2016年に353億円と推定され、前年比102%増となっている。これが、さらに2017年には533億円になり、2022年までに2000億を超えるものと予測されている(インプレス総合研究所調べ)。このうち、かなりの部分で農業関連のビジネスも伸びていく見込みだ。

 では、今後増加していく農業分野でのドローン活用には、どのようなものがあるのだろうか?

 まず、鳥の目で圃場を観察したり、アグリツーリズムを進めていくことが挙げられるだろう。

「茶の等級は、茶畑で摘む時期によって変わってきます。ドローンで空撮し、農業の知見がある方が、その色合いをみると、どこを摘めばよいのかを判断でき、茶の等級が上がって収入も増える。これはシンプルな見回りの使い方ですが、大変役立つ事例です。またアグリツーリズムは、美しい棚田や田園風景を観光スポットとして扱い、インバウンドの呼び込みに活用できるでしょう」(春原氏)

ドローンは農薬散布コストを下げられるのか?

 ドローンによって種・農薬・肥料を運んで散布することも可能だ。また、空中でのデジタルスキャニングによって、植生のリモートセンシングや精密農業につなげられる。

 空からの農薬散布は、ヤマハの産業用無人ヘリコプターに代表されるように、以前から用いられてきた手段だ。国内の稲作の圃場面積は約150万ha(平成26年度)と言われているが、そのうち50万haは無人ヘリコプターでカバーしている。特に大規模農場が多い北海道や北陸で無人ヘリコプターによる散布が進んでいる。

「無人ヘリコプターは1990年代後半からジャイロを搭載し、安定した飛行も可能になりましたが、価格が1000万円以上と高価だったため、普及に限界がありました。したがって、残りの100万haは、まだ農薬の空中散布が進んでいません。そんな中で、農薬散布用のドローンが注目を浴びています」(春原氏)

 ドローンの場合、従来の無人ヘリコプターと比べて、大規模農場以外での活用や、機体コストの安さ、操作性などでメリットがある。一方で、安全性の強化や、農薬散布時の飛散(ドリフト)をどうするか、といった課題もあった。

「しかし、昨年から農林水産省が農薬散布用ドローンの運行基準やルールを決め、ドローンによる農薬散布が本格的に動き出しています。ルールについては、同省の外郭団体である農林水産航空協会(農水協)が管理し、農薬散布の機体申請・機体登録・オペレータ免許が求められるようになりました」(春原氏)

DJI、エンルートも農業用ドローンを展開

 これを受けて、各メーカーでも、申請を受けた農薬散布用ドローンを続々と市場に投入している。たとえば、国内大手のエンルートは、小型ドローン「Zion AC940」を発売。5Lの農薬タンクを搭載し、低騒音、GPS、容易な操作性などの特徴を有する農薬散布専用ドローンだ。

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国内大手のエンルートが販売する「Zion AC940」。国による認可済の農薬散布用ドローンだ。

 また世界的に有名なDJIは、農薬散布用の「Agras MG-1」の日本での販売を3月から開始。コンパクトに折りたためる構造で、10kgの液体を搭載でき、最新のDJI A3フライトコントローラーや飛行中の信頼性を高めるレーダー認識システムにより、cm単位で地形をスキャンできる。現在、国内での販売体制を整備しながら、展開しているところだ。

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最大手のDJIも満を持して農業用ドローン分野に参入。「Agras MG-1」は10kgの大容量タンクを搭載。

「これらの機体には自動航行機能も付いているが、まだ国が許可をしていません。位置の誤差が出ると、隣接する圃場に農薬を散布してしまうリスクもあります。そこで慎重に検討してますが、来年ぐらいには自動航行への流れが起きるでしょう。そうなると作業用としてのドローンが、さらにワンステップ進むでしょう」(春原氏)

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