星野リゾートの新ブランド「OMO」はインバウンド需要減退後が怖い件 – M&A Online



旅館再生で名を馳せた星野リゾートが、2018年から都市観光型ホテル「OMO(おも)」を展開します。ビジネス利用は想定せず、観光目的の宿泊客をターゲットにするとのこと。第一弾は2016年3月に46億1900万円で取得した旭川グランドホテル。これを「OMO」ブランドにリニューアルして来年4月にオープンする予定。続いて東京の大塚駅近くにも5月に開業。大阪の新今宮の物件も「OMO」ブランドでの開業を控えています。星野リゾート・リート投資法人を上場し、旅館だけで“のらりくらり”とやっていけなくなった星野佳路氏。稼げるビジネスホテルやシティホテルを大量に取得し、ついに都市型ホテルの独自ブランドを立ち上げました。差別化を図るために観光特化に持っていくのは分かります。比較的安い物件でインバウンドを取りにいくのも分かります。しかしながら、どうにも地雷ばかりを埋め込んでいるような気がしてなりません、という話です。

この記事では以下の情報が得られます。

①星野リゾートのビジネスモデル

②星野リゾートの変遷

➂「OMO」の狙い

「星野リゾートOMO5 大塚」外観(星野リゾートプレスリリースより)

星野リゾートはリートを組成していることがポイントです

星野リゾートは、資金を調達して資産の売買・管理を行う、星野リゾート・リート投資法人という会社が上流に存在します。一言で表現すると大家です。星野リゾートが運営する物件のオーナーは、すべてが星野リゾート・リート投資法人です。

「リート」という言葉をご存知でしょうか。不動産を流動化して市場から資金を集め、開発物件から得られる収益を投資家に還元する仕組みのことです。

良く分からない方のために、詳しく説明します。

▼「リート」の仕組み

※分かりやすくするために、3人の登場人物を用意しました。「上流階級(金持ち)」「中流階級(商売人)」「労働者階級(普通の人)」です。

上流階級「いやー、土地ってホント儲かるわー。寝かすだけで、年間こんなにカネが入ってくるんだから。バカバカしくて仕事なんかやってらんないよ。飯食うために仕事(笑)とか、ありえないわー。ささ、千疋屋のメロンでも食べよ。チラ」

労働者階級「金持ち連中め、俺が汗かいて建てたホテルの上から見下しやがって。たまたまこの場所に、土地を持ってるってだけじゃねぇか。ふざけんな、仕事もできねぇ能無しが、この…(罵詈雑言)」

中流階級「この場所にホテルを建てたいんだが、建設資金がなくて困った、どうしたものか」

労働者階級「俺たちにも土地を持たせるようにしろー、不平等だー」

上流階級「下の奴ら、デモ(笑)とかしてる。お前らは山奥の竹林でも買ってればいいんだ。お前らにこの金額は出せまい」

労働者階級「そうか! 金額が高すぎて手を出せないのなら、小口の証券にして誰でも買いやすくすればいいんだ。不動産を持てない人にも、ホテルから得られる収益が還元される。これだ!」

労働者階級「うおー、リートって仕組みで、俺たちもホテルのオーナーになれた。この証券を集めて、俺たちも労働から解放だ!」

中流階級「ホテルを建設する十分な資金が得られた。次も同じやり方でホテルを建ててやるぜ」

上流階級「ぐぬぬ、富裕層の特権だった不動産投資が……」

流動化することで、ビジネス面では不動産開発の資金調達をしやすくなり、一般の人たちは、投資をしやすくなりました。

さて、ここまでは不動産ファンドです。リートは資産を管理する会社が上場している(する予定)のものを指します。リートが誕生したことで、不動産投資が一部の資産家や機関投資家のものではなくなったのです。

通常、リートといえば都内の稼げるビルなどに投資する、大規模な会社(日本ビルファンド投資法人、森ヒルズリート投資法人など)が主流。そんな中、旅館という切り口で星野氏はリートを組成しました。

「よし、不動産投資を始めよう」と思ったときに、煌びやかな都内のビルと山奥の温泉旅館だったら、どちらに資金を預けますか。もっと言うと、スーツ姿で颯爽と歩いている人と、浴衣で卓球している人だったら、どちらがお金を生みそうですか。はい、ビルですね。星野氏はそこをあえて攻めたのです。

しかも、運用する物件の運用を支えるのが身内です。すなわち、運用と所有が一蓮托生という爆弾を抱えているのです。

そんな心配をよそに、2013年7月に上場を果たしました。メディアへの露出を高めていたのはこのころです。当時、星野リゾートの施設は大変注目度が高く、市場の期待値が膨らんでいました。そのおかげで、株価は落ち込むことなく、上昇し続けることになったのです。

旅館の再生やブランディングばかりが注目される星野氏ですが、旅館という業態で市場から資金を調達するというスキームを組んだことに凄さが潜んでいます。

リートを組成したことにより、資金を調達しやすくなりました(ATMを手に入れたといっても過言ではありません)。




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