「出国税」新設を検討 外国人誘客、日本人も負担? – 東京新聞



海外旅行客の出国がピークを迎え、混雑する出発ロビー=8月11日、成田空港で

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 観光庁は十五日、地方の観光施設整備などに使う財源を集めるため、新税導入に向けた議論を始めた。日本から海外に出る人に課す「出国税」などが候補となるが、訪日外国人だけでなく日本人も海外に出掛ける場合、課税され負担増となる可能性がある。「観光財源」が新たなバラマキ策につながるとの見方があるほか、足元の観光業界からも新たな税金負担は「誘客に逆効果」との見方もあり、年末の税制改正に向け論議を呼びそうだ。 (白山泉、瀬戸勝之)
 政府は二〇二〇年までに訪日外国人旅行者を年間四千万人に増やす目標を掲げている。観光庁は新たな財源を使い地方の観光地の魅力を高め、外国人観光客を地方に誘客するとしている。年末の税制改正に盛り込むことを目指している。
 検討会で観光庁は、候補として韓国などで導入されている「出国税」や、英国などの「航空旅客税」、宿泊客にかける「宿泊税」などを示した。大半が外国人観光客だけでなく自国の国民も課税対象だ。
 出国税の場合、訪日外国人と海外に出る日本人を対象に一人当たり千円を徴収すれば約四百十億円が確保できる。一七年度の観光庁予算(二百十億円)の約二倍の額となる。だが、日本人にとっては負担は増えても直接のメリットは薄い。
 観光関連産業からも負担増が裏目に出るとの見方があり、ANAの広報担当者は「利用者の理解を得られるよう慎重に話し合ってほしい」と要望。日本旅行も「負担が増えれば海外旅行のモチベーションが低下するのではないか」(日本旅行の広報担当)と懸念する。
 検討会で座長の山内弘隆・一橋大大学院教授は「財源的な裏付けが観光の持続的な発展につながる」と述べた。ただ、使途は明確に示されておらず、中部地方の観光地の自治体関係者は「もともと外国人観光客を受け入れるノウハウや人材が足りない市町村は、予算を有効に使えないのではないか」と話す。「観光立国」を名目に集めた税金が、地方の効果の薄い施策や公共事業に投じられる懸念も残っている。

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